第18章 特別短編 秀明
その日から、俺は翼の世話係になった。
今までどうしていたんだかわからないけど、翼はひどい状態だった。
風呂にも碌に入ってないし、飯もあんまり食べてないのかガリガリだった。
毎日一緒に風呂に入って、飯も3食食わせていたら、だんだん翼は俺に懐いてきた。
「たっきー!」
勝手に俺のこと、アダ名で呼びやがって…
夜は俺に抱きついて寝やがる。
暑くてしょうがない。
「しょうがねえなあ…」
腕枕をして寝るのが日常になった。
おっさんはふらっと現れては、俺か翼どちらかを抱いて満足して出て行く。
泊まっていくことは稀だった。
そのまま何年も時が流れていった。
逃げ出そうかとも思った。
けど、その頃には翼に情が移ってしまって、置いていけないと思っていた。
俺は高校も卒業してないし、翼のこと養ってやれないから、おっさんの元を逃げ出すなんてことはできなかったんだ。
それに…
「たっきー!ねる!」
「寝ないっ!」
「ねるっ!」
「おめーどうせ、セックスしようってんだろ!だめっ!」
「いーやー!たっきーとねるっ!」
翼とは、もう身体も離れられないんだろうなって…
そう思ってた。