第17章 特別短編 しょう
おとうさんとおかあさん、いつおきるのかな…?
しかくいはこにはいったまま、まだねむっています。
はやくぼくといっしょにおふろはいってくれないかな。
わんわんのひもがからまなかったっておはなししたいのに。
「施設に預けましょうよ…」
「そうよ…私達じゃ手におえないわ…」
「そうだよな…障害があるんじゃな…」
しろとくろのぬのだらけのへやに、おはながいっぱいかざってあります。
だいのうえにおとうさんとおかあさんのしゃしんがあります。
なんだろう。
おたんじょうかいするのかな?
「あの犬…どうするのよ…」
「家、マンションだから引き取れないわよ?」
「家だって新築だから無理よ!」
わんわんがぼくのてをなめます。
「くすぐったいよ…わんわん…」
おなか、へったな…
「おかあさん。おなかへった。おきてください」
おかあさんはめをとじたままおきません。
「ほら…見てよ…あれ…」
「絶対引き取れないわよ…」
「家、娘が居るのよ?将来考えたら…何されるかわからないし…」
おとうさんもおきません。
「おとうさん…おかあさん…」
わんわんがぼくのかおをぺろぺろなめるけど、わんわんのごはんもありません。
「わんわんも…おなかへったよ?おかあさん…」
だんだんかなしくなりました。
ぽろぽろなみだがでてきました。
でもおとうさんもおかあさんもおきませんでした。
「ちょっと…誰か食べ物あげてきなさいよ…」
「いやよ。懐かれたらどうするのよ…」
おなか…へった…
わんわん…ごめんね…