第17章 特別短編 しょう
わんわんとぼくはおさんぽにいきます。
まいにちあさとゆうがたにさんぽします。
わんわんのひもが、ぼくのあしにからまってころびます。
「うえええええ…」
ころぶとひざからちがでます。
ぼくがなくと、わんわんはぼくのくちをぺろぺろなめます。
「うえええええ…」
それでもぼくがなきやまないと、かおをなめます。
「わんわん…わるいこ…」
そういうと、わんわんはしゅんとします。
くーんといいます。
かなしそうにするから、あたまをよしよしするとわんわんはげんきになります。
あしにひもがからまずにあるけたひ、おうちにかえったらだれもいませんでした。
げんかんにはかぎがかかっていてはいれません。
わんわんといっしょにげんかんのまえですわっていたら、おじさんがきました。
わんわんをおうちにおいてびょういんにつれていかれました。
びょういんについたら、おとうさんとおかあさんがべっどにねていました。
おとうさんとおかあさんはおきませんでした。
くるまがぶつかったそうです。
「ねえ…翔くんの世話…誰が見るの…?」
「うちはちょっと…受験生抱えてるし…」
「うちだって介護の必要なおばあちゃんがいるのよ?」
おとなのひとがこそこそしゃべっているのを、わんわんをだっこしながらきいていました。