第3章 fact
翔の監護権を遡って調べると、遠縁の親戚に当たる。
だが、その親戚はとうに亡くなっていて、翔の監護権はちゅうぶらりんになっていたのだ。
「翔はね、恵和学園で…虐待、受けてたんだ…」
「虐待って…働いてたんじゃないの?」
「セックスボランティアって知ってる?」
「え?なにそれ…」
「障害者の性ボランティアのことだよ…日本じゃまだまだなんだけどね。障害者だって、溜まるし勃つんだよ…そういうの抜いてくれる人たちの事言うんだよ」
「へ…そうなんだ…和也んとこの施設にもそういう人いるの…?」
「うちはデイサービスだから、そういうのやってない…」
「そっか…」
部屋がシーンとした。
福祉に携わることがない限り、こんなこと知るはずもないよな…
「翔は恵和で、男性相手のそれさせられたんだって…」
「えっ…」
恵和学園は、学校だけでなく大人が入居する施設の経営もやっていた。
表向きは恵和学園の従業員だったけど、入居型のケア施設に出向いて、それを無理やりやらされてたらしい。
「え?待って…翔が、男性相手にその…シャクったりしてたってこと?」
「まあ…そういうことなんだろうね…」