第16章 rebirth
「あー…もう…また潤ったら…」
智がドリンクを持って戻ってきた。
「お前んとこの旦那、頭のネジ外れてんぞ」
「もう…家に帰ってもあんなだから参るよ…」
ブツブツ言いながら、名刺入れを出す。
「これ、名刺です」
そう言って後ろにいる人に名刺を渡してる。
「どなた?」
「ん?STORMに仕事依頼したいんだって」
「おお」
智はてきぱきとその人と話をしていた。
感心して見てると、後ろから肩を叩かれた。
「榎本さん!」
「やあ…二宮くん」
智は仕事の話が終わると、俺と榎本さんの話に割って入った。
「径ね。やっぱり俺たちを専属で雇いたいって」
「いやあ…榎本さん、それは…」
「だめですかねえ…STORMは今や知らない人は居ないくらいだし…そろそろ…」
「だーめ。径ったら…」
「もうちょっとね…名前売りたいから…」
それでも月に何回かは鍵部屋に出演してる。
俺たちはちょっとした有名人になってきてる。
なんたって、まともな奴が半分しかいない。
身体がどこかおかしい奴が半分。
こんなDJないだろって。
そういう意味でも話題になってる。
でも…一番の話題は翔かな…
こいつの出す音がすごいって。
それで俺達は注目されてる。