第16章 rebirth
そうやって、毎日翔は俺を抱っこしてた。
暇さえあれば俺を抱っこしている。
まだ俺達は親父から休暇をもらっていたから、毎日することもなくて。
買い物に行ったりする以外はふたりきりで部屋にいた。
そのあいだ、ずっと俺のこと抱っこしていた。
「翔…疲れるだろ…?もういいよ?」
「いや」
頑固…
でも、俺もなんとなく居心地が良くて…
翔の抱っこから離れられないでいた。
時々、安藤の家の悪夢が蘇る。
だけど、翔がしっかりと俺を腕に抱いていてくれるから…
見失うことはなくなってきた。
ここは…俺達の部屋…
俺達の居る場所…
「翔…」
「ん…」
「俺が…泣いてるの…いや?」
「ん…かなしい…」
「ごめんね…」
「かずくん…なく、いい」
「え?」
「ないていい」
翔は俺の前髪をかきあげると、額にちゅっとキスをした。
「いっぱいなく」
「翔…」
身体に、ぞくぞくと登ってくるものがあった。
忌々しい…
性欲…
「…嫌だ…もう…」
「かずくん?」
安藤であんなに乱れてしまった俺を、許すことができなかった。
正気じゃなかった。
でも、感じてもいた。
汚い…俺は…汚い…