第16章 rebirth

「ガオ…」
「雅紀、もう来たの」
「ああ…悪かったな。無理言って」
「いいのよ。翼、いい子だから」
「え？嘘だろ…」
「ふふ…」

ガオの家に上がらせてもらう。
六本木なんて人の住むとこじゃねえと思ってたけど、案外住みやすそうな立地で。
俺の家と似たような内装の家だった。

「ねえ…雅紀」

廊下を歩きながらガオが俺の顔を見る。

「ん？なに？」
「翼、私が引き取っちゃだめ？」
「え…？」
「だって、わからないんでしょ？身元…」
「いや、そうだけど…もう翼は俺が引き取るって手続きしちゃったよ…」
「それ、私に変更できない？」
「ガオ…」

休みの日なんで、ガオは男装をしていない。
男だか女だかわからないような服装をしている。
こうして見てると、女にしか見えないけど。

「風間と…結婚することにしたの」
「えっ…」
「風間と翼と…家庭を築きたい。そう思ったの…」
「ガオ…おめでとう…」
「雅紀…だめかな？翼、私の手元で育てたいの。お願い」

ガオの細い手が、俺の腕をぎゅっと握った。

「ん…わかった…考えとく…」
「雅紀…ありがとう！」
「考える間、翼のこと預けてもいい？」
「ええ…もちろん！」