第16章 rebirth
俺たちは親父のビルへ向かった。
「和也、いいのか?俺の家でも、母さんの家でもいいんだぞ?」
「まだ分かれて暮らしてるのかよ…」
「引っ越しのタイミングがないんだ…」
「私、しばらく日本にいるし…甘えていいのよ?」
「大丈夫だよ…俺、翔が居ればなんとかなるもん」
飯だって今までどおり、パートさんたちに作ってもらえばいいし、居ない日は買いに行けばいいし。
「まあ…構い甲斐のない息子だこと…」
「英子…そんなこというもんじゃないよ。ありがたいじゃないか。こんなかわいい嫁さんが来て」
「ま、それもそうね。翔くん、和也を頼むね?」
「あーい!あーい!」
なんでこの人達、あっさり翔のこと受け入れてんだろ…
おっかしいの。
懐かしい部屋に入る。
「荷物、ここに置いておくわね」
「あ、ああ…」
「あら。翔くん、甘えん坊…」
翔は、部屋に入るなり俺に抱きついていた。
「じゃあ俺達は下にいるから…何かあったら呼びなさい」
部屋はおふくろが掃除しておいてくれたみたくて、綺麗だった。
「ああ。ありがとうな親父、おふくろ」
「いいのよ…」
おふくろは涙ぐんだ。
「和也が無事でいてくれたんだから…」
「さ、英子…行こう?」
親父がおふくろの肩を抱いて、部屋を出て行った。
「ありがとう…」
見えなくなった二人に礼を言った。