第16章 rebirth
この頃には智は家に帰っていた。
ちゃんと働かないと、潤と暮らせないって。
潤が車いすになったから、住める家を探してて。
雅紀が、自分のデザイン事務所の1階に住んだらどうかって言い出して。
1階は雅紀のプライベートルームにしてたんだって。今はリフォームをしてる。
「鬼大家になってあいつらいびってやろ…」
そう言ってにんまり笑ってたんだけど、智から聞いたんだよね。
「家賃は払えるだけでいいって…潤のことで金掛かるだろうからって…」
あいつ、どこまでお人好しなんだよな…いくら金持ちだからって。
俺達の入院費も全額負担してくれてるし…
別に雅紀のせいじゃないのに。
だから俺は、ちょっとずつお金は返していくつもりだ。
雅紀のプライドが傷つかないように、上手くね。
親父とおふくろが迎えに来てくれて、俺達は出発する。
「じゃあな。潤、あとちょっとだぞ」
「おう。待ってろよ。すぐ戻るから」
グーを合わせて病室を出た。
「和也、上手に歩けるようになったわね…」
おふくろは今日、海外から戻ったところだった。
児童福祉施設を中国に作る計画を今、推し進めている。
「だろ?翔のおかげだよ」
「あら、翔くん、ありがとう」
「あーい」
おふくろも俺と翔の関係には気づいたみたい。