• テキストサイズ

Re・Birth【気象系BL小説】

第1章 Re・Birth


「いやさ…ここの前をふらふらあるってたのよ…コイツ…」


雅紀が床にしゃがみこんだ。


「んで、質のわりーのに絡まれて財布盗られそうになっててさ…思わず助けたのよ…」


「珍しいことすっからだろ…」


「わりーかよ!したらさ、こいつ…連絡先ももってねえし…わかんねえんだよ…けいわ学園と名前以外…」


「まじかよ…警察いこうぜ…」


「それが…」


交番の前まで行ったら、こいつすげー暴れたんだって。


制服のおまわりなんて、俺らでも反吐が出るほど嫌だけどさ…


こいつの嫌がり方は尋常じゃなかったんだってさ。


泣いて暴れて、終いにゃ気を失って…


病院にでも連れて行きゃいいのに、雅紀はここに連れてきたんだってさ…


「で、どうすんのよ…これ…」


櫻井翔は、毛布を握ってぶるぶる震えてる。


そのくりくりの瞳に涙が溜まってる。


そっと頬に触れると、俺の目を覗き込んできた。


曇りのない、とても綺麗な瞳だった。


「翔…?お家どこ?」


翔はぶるぶると顔を横に振る。


「わからないの?」


こくりと頷くと、俺の服の裾をぎゅっと握った。


「いきたくない…」


「え?」


「おじさんのくるま、のりたくない…」


「翔…」
/ 440ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp