第16章 rebirth
「現職の警官の罪をこれだけ隠蔽したということが世間に公表されれば、日本の警察の根底が揺らぎます。そうなったら警察がないのと同じことになります…」
大げさなと思ったけど、まあ建前なんだろうな…
このことを隠蔽したほうが、バレた時大騒動だろうが。
「いいよ。それより、安藤を一生外に出さないでよ。それが条件だよ」
ふっと小原は笑った。妙な迫力があった。
「それはもう、お約束します。どんな手を使ってでもね」
だから世間に公表しないほうがいいと言わんばかりだった。
「どんな手を使うの…?」
ふふっと可愛らしく笑った。
「安藤はね、もうまともに喋れません」
「え?」
なにか…薬物でも使ってるんだろうか。
可哀想とも思わなかった。
「適当なところで、殺しちゃうの?」
ふふっと笑うと立ちあがった。
「ノーコメントです」
小原はドアを開けて出ていこうとしたが、ふっとこちらを振り返った。
「二宮さん…すいませんでした」
深々と頭を下げて、小原は部屋を出て行った。
「俺よりも…翔に謝れよな…」
ぽつりと呟いた声は、誰にも届かない。
ゆっくりと時は過ぎていく。
俺達の上に、時間は平等に流れた。