第16章 rebirth
時間はゆっくりと流れた。
安藤は公安のやつらに捕まった。
翔の人身売買と暴行、俺への誘拐・暴行、潤の殺人未遂、翼の誘拐・暴行、滝沢の殺人、恵和学園の理事長一家4名の殺人、その共犯者2名の殺人、不法薬物売買と摂取、賭博、警察の機密漏洩…数えきれないほどの罪を暴かれた。
安藤の勤めていた二箇所の所轄の幹部が大量に処分され、安藤に関わっていた職員も一斉に処分を受けた。
でも、この件は世の中には出なかった。
これだけのことがあったのに、一切が闇に葬られたのだ。
俺は、それでいいと思った。
皆は怒ったけど、でもそれよりもなによりも…
翔を守りたかった。
きっと事が世間に公表されたら、俺達は世間の晒し者になる。
翔は…そんな環境に耐えられないだろう。
公表されないと決まったとき、小原が病室を訪ねてきた。
「初めまして…小原といいます」
切れるような美しい顔をした男だった。
長いまつげは憂鬱に伏せられていた。
「長い話をしても大丈夫ですか…?」
公安に所属しているというこの男は、丁寧な話し方をした。
安藤の罪、安藤のやってきたこと、そして警察内部のこと…
「申し訳…ありません…」
そう頭を下げた。