第16章 rebirth
「お前、心臓が弱っててな…本当に危なかったんだぞ…」
雅紀がぽつりと呟いた。
俺はいがぐりになった頭に手を載せた。
「頭も…」
雅紀は俺の頭を見て笑った。
その時、病室の扉が開いて智と潤が入ってきた。
「え…?なんで?」
「お前の症状が重篤だったから、転院したんだよ。こっちのほうが設備整ってるから」
相葉グループの力をまた、使ったらしい。
後でお礼に行かないと…
「和也の目が覚めたって聞いてさ…」
「どう?シャバは…」
二人は静かにベッド際に来てくれた。
潤は車いすを一生懸命漕いでる。
「わかんない…まだふわふわしてる」
「だろうな。俺もそうだったからさ」
「だよね…九死に一生ってやつ?」
「…思ったより元気だ…カズ」
潤が意外そうな顔をした。
「え…?」
「いや…え?もしかして覚えてないの?」
「なにを…?」
「潤っ」
雅紀が潤を制した。
「…どういうこと?」
雅紀は俺の方をちらっと見た。
「安藤のところに居た時の記憶、ある?」
「え…?安藤…?」
安藤…安藤って…あの安藤だよな…
「多分、和は安藤のところにいた記憶、失ってる」
智と潤に、雅紀はきっぱりと言った。
「そっか…」
それきり皆、黙ってしまった。