第15章 hope
「かずくんっ…かずくんっ…」
「翔くん…これ以上は近づいてはいけないって言われただろう?」
翔と親父の声が聞こえた。
なにか言ってやりたいのに、全然体が動かない。
なんにも言うことをきかない。
「かずくんっ…」
翔の声は掠れている。
たくさん泣きすぎると、そんな声になるんだよな…
なんでそんなに泣いたの…?
なにか悲しいことがあったの…?
泣かないで…翔…
「めめあけてください…かずくん…」
「翔くん…」
親父まで泣きそうな声だして…
情けねえなあ…なにやってんだよ。
なんでそんなに泣いてるんだよ。
”和也…もう、いいよ…”
え?
翔の声が遠くに聞こえる。
いや…
これは、翔の声…?
さっきの声だ…
目を開けたら、俺と翔が居た。
微笑んで青空の下、ブランコを漕いでいる。
”早く戻れよ”
”いってくださーい”
二人は楽しそうにブランコで遊んでる。
翔が俺の背中を押している。
俺は空に向かって精一杯ブランコを漕いでいる。
”早く…”
そんなこと言ったって…
鉛が入ってるみたいに体が動かねーんだもん…
二人は俺に駆け寄ってくると。
ぽんぽんと俺の頭を撫でた。
”さあ…もう大丈夫だから…”
”がんばってくださいっ”
…簡単に言うなよなぁ…