第15章 hope
「幸い、内臓には損傷がなかったそうです。頭部の手術は成功したのですが、心臓が弱っていて回復は本人次第だと…」
和也は安藤に捕らえられている間、ろくに食事もしていなかったんじゃないかということだ。
雅紀が俺を見上げた。
「智…」
「ん…」
すがるような眼差しに手を差し出した。
ぎゅっと雅紀の手を握ってやると、雅紀はまた泣いた。
「…男だろ…そんな泣くなよ…」
「俺に…俺にできることって何かな…」
「充分だろうよ…由美さんたちに頼んで和也みつけたんだから…」
俺が言ったら、由美さんまでまゆがへの字に曲がった。
「どうしよう…秀明みたいになったら…」
だんだん雅紀の声が悲鳴みたいになっていく。
「和が居なくなったらどうしようっ…ねえっ…智ぃっ…」
雅紀が取り乱して俺に縋り付いた。
「雅紀…落ち着けって…」
「怖い…怖いよぉ…なんで好きになる人がいなくならなきゃいけないの…?ねえ…智ぃ…」
「…そんなの、わかんねえよ…」
雅紀は突然意識を失った。
後ろに倒れこむのを、由美さんが受け取った。
「相葉さんには休息が必要です…松本さんの居る病院に、入院の手続きをしましょう…」
そう言って雅紀を長椅子に寝かせた。