第15章 hope
救急隊員に応急処置をされている二宮さんを、相葉さんはただ見つめていた。
ぎゅっと歯を食いしばって、なにかを堪えている。
二宮さんは意識を失っている。
どこを打っているのかもわからないくらい、体中傷だらけで。
焼け焦げた服を隊員が引き裂いているのが見えた。
「和っ…」
思わず、といった感じで相葉さんが声を上げた。
引き裂いた服の下から現れたのは、痣だらけの体だった。
新しいものから、古いものまで…
よっぽど傷めつけられたのか。
目視できる範囲でも無数の痣と傷があった。
ふと見た足首は、変な方向に曲がっていた。
完全に折れているな…
助かるのだろうか。
どこか遠くから二人を眺めている感覚になりながら、状況を分析している自分がいた。
それほど、目の前にいる二宮さんは、知っている二宮さんの姿とは遠くかけ離れていた。
顔も赤く腫れ上がっている。
爆発の炎でやられたんだろう。
相葉さんは頭を抱えて下を向いた。
「和まで…失ったら俺…」
ぽたりと涙が一粒床に落ちた。
「相葉さん…」
肩に手をかけようとした瞬間、心音のモニタの音が途絶えた。
「電気用意!」
救急隊員の動きが慌ただしくなった。