第15章 hope
キャップを被ると、戦闘態勢だ。
このキャップには鉄板が仕込んである。
頭部に着弾しても程度を抑えることができる。
美穂さんが私にキャップを放り投げてきた。
同じものがもう一個。
「相葉さん。これも」
相葉さんは情けない顔をしていた。
「はい…」
ぷちぷちと後ろのスナップを外してサイズ調整している。
「相葉さん、ここに居ますか?」
むしろ、そのほうが助かる。
「いえ…行きます」
ぎりっと奥歯を噛みしめると、相葉さんは勢い良く立ちあがって、車の天井に頭をぶつけた。
「いってーーーーー!」
「…なにしてんの…?」
由美さんの的確なつっこみに、日本の男はまゆを情けなく下げた。
「すいません…力みすぎました…」
運転席の美穂さんが笑いを堪えている。
のんきなものだ…日本男児。
「ちょ、ちょっと待って…落ち着いてから…くっくっく…」
笑い上戸の美穂さんが笑い止むまで、たっぷり10分かかる。
悠長なことは言っていられない。
「先発します」
そう言ってドアをスライドさせて外に出た。
相葉さんが後に続く。
「相葉さん」
「俺も…行きます」
由美さんも車を降りようとしたその瞬間…
爆発音が響いた
「和也っ…」
駈け出した相葉さんの襟首をひっつかんで後ろに付かせた。
そのまま廃ビルに突入した。