第15章 hope
今日は美穂さんもいつものスーツ姿ではなく、黒のツナギを着ている。
私と由美さんは現場に出るときはほぼ、ツナギだ。
相葉さんだけ、Gパンにパーカーという軽装だった。
「相葉さん、これ着てください」
私にはサイズが大きい革ジャンを渡した。
「へ…?」
「いいから。絶対に脱がないでくださいね」
「あ…はい…」
ないよりマシだ。パーカーなんかよりよっぽど身を守れる。
こんなことなら防弾チョッキも用意しておけばよかった。
「あ…」
由美さんの方を見ると、親指を立てた。
この有能な元警官の女性は、防弾チョッキを用意していた。
「相葉さん、コレもつけて下さい」
「は、はぁ…」
安藤が拳銃を所持しているのは、滝沢の一件ではっきりしている。
用心するに越したことはない。
「あと、相葉さんこれも」
美穂さんが相葉さんに手渡したのは、ゴーグルと簡易防毒マスク。
「首からでもぶら下げといて下さい」
サッと指示すると、美穂さんは自分の支度を始めた。
私も自分の支度を終えると、相葉さんにマスクの使い方を説明した。
伝声器付きだから、いざというときでも大丈夫だろう。
「この扇風機みたいなとこから空気が入ってくるんだ…」
ぶつぶついいながら、相葉さんは怖いのをごまかしてるみたいだった。