第15章 hope
「お預かりします」
流麗な視線を私に投げると、翼くんを抱き寄せた。
「ごめんな、ガオ…俺んちこれ以上はちょっとね…」
相葉さんの実家からはたくさんの資金援助を受けているから、翼くんを預けるのに抵抗があったのだろう。
「風間もごめんね、頼むわ」
「はい、かしこまりました」
風間という優しい顔をした男性は、相葉さんに軽く頭をさげた。
この人はガオさんのボディガードだそうだ。
「翼は…なんてったっけ?自閉症ってやつなんだ」
「そう…大丈夫。弟がそうだったから…慣れてるわ」
「え?弟さん、いるの?」
「もう、死んだわ」
「…そっか…」
「気にしないで。早く和を救ってあげて?」
「…うん」
翼くんはおとなしくガオさんの腕に抱かれている。
「さ、翼…あっちで遊ぼうか…」
ガオさんの私邸は、六本木の一等地にある。
ビルの中の一室に3人は消えていった。
「さ、行きましょう」
東横線沿線の日吉。
ここに向かって、車を走らせた。
「…案外近いところに居ましたね…」
「多分、二宮さんを連れてそれ以上行けなかったんでしょう」
「今でもそこにいるってことは、二宮さんは無事ってことですね」
私が言うと、相葉さんが目を上げた。
その目には光が宿っていた。