第14章 burn
安藤が起き上がって俺をつかもうとした瞬間、殺虫剤のスプレーを噴霧した。
そこにライターで火を点けた。
「うわあああああああああっ…」
皮膚と髪が焼け焦げる匂いがする。
安藤は床を転げまわった。
俺も少しやけどをした。
髪が焼けてる…
「…もっと苦しめよ…安藤…」
そう呟いても、安藤にはもう聞こえていない。
「がああああああっ…和也このやろおおおっ…」
呻きながら床を転がって顔を押さえている。
手が痛い…革手袋をしてるけど、やはりやけどしたようだ。
安藤が顔を上げた。
顔が焼けただれていた。
目も半分しか開いていない。
「てめえええ…よくも…だましたなぁっ…」
ものすごいスピードで俺に迫ると、襟首を掴まれた。
そのまま窓に向かって身体を投げられた。
ドスンと窓枠に身体が当って、床に落ちる。
「ぐうっ…ぐえっ…ごほっ…ごほっ…」
背中にものすごい衝撃を感じて、息ができない。
「殺してやるっ…殺してやるうぅっ…!」
ゾンビみたいな顔して、安藤が俺に近づいていくる。
とっさに、ワイヤーを巻きつけた垂木を取った。
思い切り安藤の足を振りかぶって殴りつけた。
安藤はぐらりと身体を傾け、床に崩れ落ちた。
「ぐあああああああっ…」
骨が、折れる感触がした…