第14章 burn
カラン…カラン…
小さくなったドライアイスの破片をペットボトルに詰めていく。
指先は既にもう感覚はない。
白い気体の立ち上る塊を一つ一つ、落とさないように小さな飲み口に入れていく。
「これじゃ、量が足りないかな…」
昔読んだマンガにこの作り方が書いてあった。
果たしてあんな威力が出るのかもわからない。
けど、これが必要だった。
俺がわかる爆弾に近いものの作り方はこれしかなかったから。
ある程度詰め終わると、殺虫剤のスプレーとライターを手に取った。
安藤の脱ぎ散らかした服の中から、サバイバル用の服を着こむ。
サイズがでかいけど、着ないよりマシだ。
ずっと裸で過ごしてきたから、布地の感触が懐かしかった。
もう、あれからどのくらい経ったのか見当も付かなかった。
それほど、俺の感覚は麻痺してた。
ポケットにシャーペンとボールペンを詰め込んだ。
十徳ナイフも一緒だ。
電熱器の電気を入れると、床に転がしておいた。
ワイヤーを垂木に巻きつけて、足元に張り巡らせた。
最後に垂木を窓枠の格子に引っ掛けて固定した。
「こんなとこかな…」
物が散乱した部屋だから、こんなことやってもちっともわからない。
ましてやアイツはシャブ中だ。
俺のやってることなんて、見えるはずない。