第14章 burn
「一切、ひっかからなかった」
ぞっとした。
安藤の執念を見た気がした。
「アイツはいま、ヤクザと警察と俺たち、三方に追われてる。だけど、どこも手がかりをつかめていないんだ…異常なことだって、探偵さんたちも言ってた…」
雅紀は俯いて、溜息をついた。
「安藤は…和も道連れにする気なんじゃないかな…」
「…なんてこと言うんだよ…!」
潤がベッドの上から、雅紀の胸ぐらをつかんだ。
「安藤がそう言ったんだよ…”どうせ死ぬんだ”って…」
俺は潤の腕を掴んで、雅紀の胸ぐらから外した。
「潤…一番どうにもできなくて辛いのは、雅紀だからね?」
「…わかってる…」
潤はそのままごろりとベッドに転がった。
「和まで…失うわけにはいかないんだ…」
「え?」
雅紀がか細い声でなにかを呟いた。
けどそれは、俺達には聞き取れないほど小さいものだった。
「じゃ、俺戻るから…」
「あ、ああ…雅紀…」
「ん?」
「無茶すんなよ?」
「…無茶しなきゃ…和、助けらんないよ…相手は、シャブ中だもん…」
悲しそうにつぶやくと、雅紀は病室を出て行った。
「智…」
「うん…俺達も、何かしたいね…」
「何かできることないかな…」
ぎゅっと二人で手を握り合った。