第14章 burn
「なあ、翔。ご飯食べてないんだって?」
翔はまた黙って天井を見つめた。
「和也に怒られるぞ?」
なにも、反応がない。
「和也が帰ってきたら、がっかりするよ?翔がご飯食べてないって…」
翔は微笑んで、目を閉じた。
「かずくん…あいたい…」
目の端から、ひと粒だけ涙がこぼれ落ちた。
雅紀が俺の肩に手を置いた。
見上げると、顔を横に振った。
それから翔は一言も喋らなくなった。
「…ずっとああなのか?」
病室に美樹さんが居て、翔を世話していたから、雅紀は俺たちを送ってくれた。
「うん…ほぼね…」
雅紀はそれから潤の病室で、和也が連れ去られた経緯を話した。
「じゃあ最後に見たのが、血まみれの和也だったってわけか…」
「うん…もう、煙が凄くてね。おまけに、安藤の野郎、爆弾仕掛けてやがって…後を追えなかった…」
「和也らしいや…翔を庇って…」
また潤が涙ぐんで鼻を鳴らした。
俺はティッシュをそっと潤に渡した。
「で、どうなの?警察とかの捜査は進んでるの?」
「いや…現職の警官だろ…?アイツ、行方をくらますのが上手くて…手がかりは、一切ない…」
「そんなことってあるのかよ…Nシステムとか…防犯カメラとか…」