第13章 these
由美さんがギョっとして立ち止まった瞬間、安藤は扉を開けて外に出た。
ここで俺の意識は途絶えた。
カチカチカチカチ……
時計の、音…?
うるさい…
頭がガンガン痛い…
なんでこんなに痛いんだ?
頭に手をやると、ぬるりとした。
驚いて目を開けたら、右目に痛みが走った。
血…?
固まってて目が開かない。
薄暗い中、手をみるとドロリとした血が付いていた。
ああ…そうだ俺は安藤に…
部屋の中に灯りがチカチカ揺れてる。
俺はぼろきれみたいなシーツの上に寝かされていた。
灯りは…テレビ…?
小さく音が聞こえてる。
寝かされていたベッドから降りようとしたら、スプリングが軋む音が部屋に響いた。
ベッドから降りて音のする方に向かう。
隣の部屋を覗き込む。
薄暗い部屋の中に、煌々とテレビの明かりだけが灯っていた。
その前に、黒々とした山のような人影。
安藤…
安藤はじっとテレビの画面に見入っている。
それはニュースだった。
俺達が居た倉庫が写っている。
倉庫からは黒煙が立ち上っている。
ヘリコプターからの映像のようだった。
思わず近寄った。
翔は…あいつらは無事なのか。
ジリっと靴が音を立てると、安藤がゆっくりとこちらを振り返った。