第13章 these
「安藤っ…罪を重ねたら刑期が長くなる!わかるだろう?」
「お前…どっかで見た顔だな…」
「本庁にいたことがある」
「は…なんで探偵なんかやってんだ…」
「アンタみたいなのが居るからだ」
由美さんの声が、一段低くなった。
「汚えツラを隠しもしねえで警官やってんのが大勢いるからだろうが…」
「正義の味方かよ…子供かっつーの…」
安藤は俺を引きずりながら、徐々に後ずさっている。
頭から血がぽたぽた落ちて、床を汚していく。
「その人を離せ。これ以上罪を重ねるな」
「どのみち、俺は終わりだ。こいつも道連れにして死んでやるよ」
由美さんが大きく一歩踏み出した。
「来るんじゃねえ!俺は本気だ!どうせシャブが骨まで染み付いてんだ…死ぬしかねえんだよ…」
「だからってその人を巻き込むな!一人で死ね!」
「はっ…警官じゃないからって言うねえ…」
「だから警官やめたんだ。ばかやろう」
「俺はここでは死なねえよ…」
安藤は素早く俺を抱え上げた。
「こいつの命が惜しかったら、追うなよ」
そういうとさっきブザーが鳴った出口に走っていった。
「待て!安藤!」
「オイ!アンタ!ここが焼け落ちる前に出るんだな!あと40秒だ!」