第13章 these
スタンガンを取り出して、安藤の首に押し当てた。
最大出力にしてあるはずだった。
バチバチっと凄い音がでて、火花が飛び散った。
なのに安藤は倒れない。
「え…?嘘だろ…」
安藤はゆっくりと俺に向き直った。目がイってた。
ヤバイ…薬入ってる…!
身を翻して逃げようとした瞬間、安藤に襟首を掴まれた。
「雅紀っ…!雅紀!逃げろっ…!走れっ…」
雅紀が起き上がるのが見えた。
翔がこちらに走り寄ろうとしているのも見えた。
「翔っ…だめだっ…こっちにくるなっ…行けっ…」
「いやああああ!かずくんっ…」
「雅紀っ…頼むっ…!」
「和っ…」
雅紀が翔をなんとか捕まえた。
その時、黒煙の向こうから由美さんが飛び出してきた。
「二宮さんっ…」
安藤が素早く俺の頭に銃を突きつけた。
「動くな。コイツ殺すぞ」
手がぶるぶる震えてるのがわかった。
だけど、安藤の俺を捕まえる腕の力が凄くて、身動きが取れなかった。
「安藤っ…もう無駄なことはやめろ…」
「うるせえなぁ…てめえらが余計なことしなきゃ、こんなことになってねえんだよおっ…クソがっ…」
ガツンとまた目の前に火花が散った。
また頭を銃で殴られたようだった。
目の前がまた赤く染まっていく。
右目は完全に開けなくなった。