第13章 these
安藤は舌打ちをすると、銃を構えた。
「翔をよこせ」
雅紀は俺達を背に安藤の前に立っている。
「いやだね。だいたい、翔の体内にはもうマイクロチップはねえよ」
「…なんだと?」
「お宝の地図は、もう俺達が頂いたってことだよ」
そう雅紀が言った瞬間、雅紀と翼はもろとも吹っ飛んでいった。
安藤が雅紀を薙ぎ払ったのだ。
俺の前まで来ると、銃を俺の額に付けた。
「お前ら、どこまで知ってる」
「さ…あ…どこまでがアンタの本当なんだよ?安藤さんよ…」
黒い煙がもくもくと天井を這い始めた。
ガラスの割れる音が、倉庫内に響く。
安藤の奥から、炎が見え始めた。
安藤はふっと笑うと、俺を銃底で殴った。
「いっ…翔っ…」
「いやああっ…かずくんっ…」
血が目の中に入って、視界が真っ赤になった。
右目が見えないっ…
安藤が翔を抱える後ろ姿が見えた。
「やめろ安藤っ…本当にマイクロチップは取り出したんだ…!」
背中に飛びついて、なんとか動きを止める。
翔を掴む腕をなんとか薙ぎ払って、安藤の腕を引っ張る。
…由美さんからスタンガンを預かっている。
これがあれば…
「翔っ…雅紀のとこに走れっ…」
もがいて安藤の腕から離れると、翔は走った。
「行けっ…振り返るなっ…」