第13章 these
「私は職業上、人を人と思わない。そんな人間、たくさん見てきました…あなたはラッキーだっただけです…」
「そんな…」
雅紀の腕に、翼がしがみついた。
「にーちゃ…」
心配そうに見上げる翼を雅紀は抱き寄せた。
「いやな…ことです…」
「はい。そうですね…少なくともここにはそんな人、いませんからね…相葉さん、皆さんを大事にしてくださいね…」
由美さんはそれだけいうと、外に出て行った。
「外の警備は由美さんに任せましょう」
美穂さんが立ちあがって、俺たちに風呂に入るよう促した。
この倉庫には従業員が大人数で入れる風呂があった。
プロパンがまだあったので、風呂には入れた。
俺と翔と雅紀と翼の四人で入浴する準備をした。
「つばさくん、ちゃんとおようふくぬいでください!」
翼はパジャマ以外、着慣れて居ないらしく服を脱ぐのが今だに不器用だ。
最後には翔が手伝って、やっと翼は服を脱ぐことができた。
浴室の中に入ると、タイル張りの広い風呂が現れる。
そこには満々と湯を溜めておいた。
「温度どうかな?」
翔と二人で温度を確認した。
「翔、どう?」
「ちょうどいいです」
「そっか。じゃあ入ろうか」
ふたりでそろそろと湯船に身体を滑りこませる。