第13章 these
沈黙の時間が長く続いた後で、美穂さんと美樹さんが戻ってきた。
顔色が真っ青だった。
「どうしたんですか?」
「いえ…」
「マイクロチップの中身、わかりました?」
「はい。それはもう警察に提出済みです」
そう言ってる二人の顔色はやっぱり酷くて。
「警察に口止めされてることがあるんですか…?」
美穂さんは諦めたように目を閉じた。
「滝沢さんが持ちだしたパソコンの解析結果と、警察の持ってる情報を合わせたんです。小原に職務外で極秘でコンタクトを取って」
美穂さんがよろけるように、イスに腰掛けた。
「安藤は…恵和の理事長、つまり経営者一家を殺していました」
「え…?」
雅紀が身を乗り出してきた。
「どういうことなんですか?」
「安藤は金を独り占めしたんです…」
美樹さんが目を細めて呟く。
「経営者一家を殺した共犯者も、殺しました」
「…そんな…」
「麻薬のせいなのか…安藤の生来の性格なのかはわかりません」
「あいつは秀明をためらいもなく殺したんだ…シャブのせいじゃなきゃ…なんであんなことができるんだよ…」
雅紀は口を手で覆った。
「相葉さん…あなたはそのような人間に今まで接することがなかった。ただそれだけなんです」
由美さんがきっぱりと言い切った。