第11章 will
「智…」
ありがとう。
なんで俺のこと好きになってくれたかわからないけど…
「よっ…」
そっと智の身体をひっぱり上げた。
ベッドの上に、なんとか載せると、布団をかけた。
傷が少し痛んだけど、智は軽いからなんとかなった。
こんなところ看護師に見られたら何言われるかと思うけど…
風邪ひかせるよりいい。
すやすやと眠る智の体温が熱い。
「もう…今日寝られないじゃないか…」
ぽすっと智の横に寝転がると、智の寝顔を見つめた。
なんで寝てると、ちょっと拗ねたみたいな顔になるんだろ。
くすくす笑いながら見てると、智はにへっと笑った。
「なんの夢みてんだよ…」
おでこをつんと小突くと、また笑った。
「まっ…松本さんっ…!」
看護師の声が聞こえた。
目を開けると、あの看護師が居た。
「あ…おはようございます…」
「おはようございますじゃないですよ…まずいです…」
そう言ってドアを閉めた。
「え?」
「なんで大野さんと一緒に寝てるんですか!」
「あっ…さ、智!起きろ!」
「潤~…あと5分」
「ばかっ…なに新婚みてーなこと言ってんだよ!起きろって!」
ぱちっと智は目を覚ますと、看護師を見てベッドから落ちていった。