第11章 will
背中が「え?」って言ってるのがおかしかった。
「これからも、俺と一緒にいてよ。智…」
そっと智がこちらを見た。
薄い暗闇の中でも、頬に涙が光っているのが見えた。
「好きとか嫌いとか、今はわからない。それでもいい?」
「潤…」
「俺、お前と一緒に居たいよ」
なんとか半身を起こして、智に左手を差し伸べた。
ゆっくりと智はベッドに歩み寄る。
「…ホント…?」
「嘘言ってどうすんだよ…」
「傍にいてもいいの…?」
「俺が居てくれって言ってるの。智、嫌なの?」
ぶんぶん首を横に振って、俺の手を握った。
「俺、智のこと大事だと思ってる…」
「潤…」
「だから、そばに居て欲しい…」
「潤っ…」
智が俺の手をぎゅっと握りこんで、抱きしめるように引き寄せた。
「ありがとう…」
智の温かい体温を感じながら、俺の胸にもなんだか温かいものが広がった。
「礼なんか…言うなよ…」
智は静かに泣いていた。
すすり泣く声は、外がすっかりと明るくなるまで続いた。
そして、それが聞こえなくなる頃、智はそのままの姿勢で眠っていた。
「え?ちょ…」
どうすんだよ…俺、動けないのに…
「智!起きろよ!そんなとこで寝るなよ!」
「にゃ~…」
ちっとも起きやしねえ…