第11章 will
やっぱ…現実だよな…
すっきりしてるし…その…アソコが…
「お、俺が頼んだのに、なんで智が謝るんだよ」
「いや、でも…」
「俺はっ…」
何がいいたいんだろ。
必死に謝る智に、これ以上あんな顔させたくなくて。
でも、なんて言っていいかわからない。
「俺は…」
智…別に俺、気持ち悪いとか思わなかったんだ。
そりゃ、俺はノーマルだよ?
だけどさ…別にそういうのを軽蔑する気持ちも、本当にないんだ。
「嫌じゃない…」
ぽろりと口からこぼれ出た言葉。
でもそれも本音じゃない。
本当は…ほんとは…
「潤…」
「智、あのさ…」
こんなこと、言ってどうなるんだろ。
でも言ってしまいたい…
「智は…その…俺のこと、好きなの?」
智がびくっと固まった。
言っては…触れては…
いけないことだったんだろうか。
暫く、病室には沈黙が流れた。
重い空気。
でも俺の足は動かないから、逃げ出すことができない。
智はソファでじっと座ったまま床を見つめてる。
「好きだ…」
いつの間にか、智は俺のこと見てた。
まっすぐ見つめて、やがてふにゃっと笑った。
「良かった…伝えることできて…」
そう言って立ちあがった。
「智…?」