第11章 will
最初は照れくさかったけど、もう慣れた。
っていうか、そんなこと言ってらんなかったし。
本当はこういうことは、看護師が全部やるんだけど、智だけ特別にやっていいことになってた。
探偵さんが手を回したんだろう。
とにかく智も外にいてはヤバイから。
「潤…」
「ん?」
「足、動かせる…?」
「待って…」
いくら力を入れてもだめだった。
「だめみたい…」
「そっか…」
智の手が足を拭いてくれている。
それはわかるのに。
なんで動かないんだろう…
その時、智のジャケットの裾が、俺に触れた。
俺の…ナニに。
びくっと身体が揺れた。
「えっ?どうした?潤」
「あ…ごめ…智。もういい」
「え…?あとちょっとだよ?」
「いやあの…」
慌てて布団を掴んで股間を隠した。
それだけで智は察したみたいだった。
「…看護師さん呼ぶ…?」
「いや、いいよ…」
「じゃあ…」
智が起き上がって俺を真っ直ぐ見る。
「俺が抜いてやろうか」
声が、出なかった。
何言ってんだよとか、冗談言うなよとか…
言葉がその時全部すっとんでて。
触って欲しくて。
智のその手で触って欲しくて。
でも、恥ずかしくて言えない。
言えないから…
智の手を掴んでしまった。
驚いて引こうとするのを、引き寄せる。