第10章 stream
「雅紀は…今まで恋人とか居たの?」
「え…まあ、そりゃね」
「ふーん」
「なにお前、妬いてるの?」
「ち、違うよ」
「でもな」
「ん?」
秀明は俺の腕の中から、俺の目を見た。
瞳の中に星がある。
「ほんとに好きなヤツを恋人にしたのは初めてだよ」
「…え?」
「だから、お前が初めて」
秀明はみるみる真っ赤になった。
「お、俺だって…そんなん初めてだもん!」
照れた挙句、キレた。
「お前そんなキレて言うことねえだろ…」
「き、キレてねえし」
「じゃあ照れてんの?」
「て、照れてもねえし」
「じゃあなんなのよ…その反応…」
がばっと布団の中に潜った。
「う、嬉しいんだよ!ボケ!」
くぐもった声が聞こえたかと思ったら、そこから動かなくなった。
布団をぺろっと少しだけめくった。
「舐めてくれんの?俺、もう出ないんだけど」
「ち、違っ…」
「じゃあ出てこいよ…お前の顔が見たいんだよ」
「う、うるせえな…」
「来いって、ほら」
無理やり布団から顔を出させた。
なんだか剥れた顔をしている。
そこがまた、かわいいと思ってしまう。
俺が、愛してやるよ。
もっともっと愛してやるよ。
今までの淋しい思いを、ふっ飛ばしてやるよ。