第10章 stream
雅紀が落ち着くまで、潤を見舞った。
わざわざ潤の入院する病院へ入れてもらったのだ。
面会時間は終わっていたのだけど、美穂さんたちが交渉して潤の入っている個室へ入れてもらえることになった。
潤はまだ起きていた。
頭や身体は包帯だらけだった。
痛々しい様子に胸が痛んだ。
だけど、無事を確認できてホッとした。
「どう?潤…」
智がベッドサイドでかがんで、潤に視線をあわせて話しかけた。
「ん…あのな…」
チラと潤は俺の顔をみた。
「下半身の感覚がない」
「え…?」
その後、いくら智が話しかけても潤は喋らなくて…
「ごめん、俺たち外出てるから…」
いたたまれなくなって、俺は翔を連れて病室の外に出た。
美穂さんが一緒に着いてきてくれた。
「二宮さん…」
気遣わしげな声が聞こえたが、顔を上げることができなかった。
「今は…気になさらないことです…」
「美穂さんは知っていたんですか…」
「ええ…手術が終わった時、ご家族から聞きました」
「なんで教えてくれなかったんですか!」
「教えてなんになりますか」
美穂さんは俺たちをナースステーション横の休憩室まで連れて行った。
イスに俺と翔を座らせると、温かいコーヒーを買ってきてくれた。