第10章 stream
「美樹さん!?」
また女の人の声が聞こえた。
俺の視界に、また探偵さんが写った。
たしか美穂さんという人だ。
「相葉さんっ…今の銃声は!?」
「美穂さん、今、安藤がこの階段を降りて行きました」
「分かった。あなたは安藤を追って。私は相葉さんを保護します」
「助かりました。お願いします」
そういうと美樹という人は駆け出していった。
階段の下を覗き込むとこちらを振り返った。
「あ、あの!秀明をっ!」
「美穂さん!お願いします!階段の下に人が倒れています!」
「わかった!あなたは行って!」
美樹さんは階段を駆け下りていった。
美穂さんという人は俺の腕を引いた。
「安藤は行ったようです。階段の下の人はどういう人ですか?」
「俺を助けてくれた人です」
「わかりました。階段を降りましょう」
俺は翼をまだ抱えたまま、美穂さんと一緒に階段を降りた。
秀明は笑ったままそこに横たわっていた。
美穂さんは首に手を当てると、目を瞑った。
秀明の体の下には、大きな血だまりができていた。
「相葉さん。行きましょう」
「え?早く救急車呼んで下さい」
「ダメです…もう…」
意味がわからなかった。早くしないと死んじゃうだろ?
なにしてんだよこの人…
「電話、してくださいよ」
「だから…相葉さん…。もう、亡くなっています」
「え…?」