第10章 stream
秀明の動きが止まった。
でも顔は笑ったままで。
「雅紀…逃げて…?」
「秀明…?」
ぐらりと秀明の身体が揺れた。
「秀明っ!」
笑顔のまま、秀明は階段を仰向けにゆっくりと落ちていった。
「たっきー!いやあああっ…たっきー!!」
翼が暴れて俺の肩から降りようとする。
でも、離しちゃいけないって思って。
でも俺の足は動かなくて。
動かないんだ。
安藤がくるって、わかってるのに。
「秀明…?秀明…」
秀明がどうなったか確かめなきゃいけないのに。
俺の足、動かないんだ。
「相葉さんっ…」
探偵の女のひとが、何故かここに居た。
「こっちへ!」
「だめ…」
「え!?」
「秀明が…死んじゃう…」
「相葉さんっ…」
「秀明が…秀明っ…」
「相葉さんっ‥」
バシっと頬を叩かれた。
「しっかりして下さい!ちゃんと説明してください!」
「お…俺を助けてくれた人が、う、撃たれて階段を落ちていった…」
「わかりました。私が見てきます。だから、先に相葉さんは逃げるんです。わかりますね?」
「俺が…秀明を…!」
「相葉さんっ…!」
探偵さんが、いきなり俺を後ろに突き飛ばした。
階段の出口に安藤が立っていた。
「安藤…」
安藤は探偵さんを見ると、階段を逆戻りしていった。