第9章 captive
「シャブ!?」
「だから…金が要るんだよ…」
「ヤクザから買ってるのか…」
「だろうね…俺は詳しいこと知らないけど…」
秀明は、ぎゅっと俺に抱きついてきた。
「だから…アンタの友達、車で轢いたんだ…」
「えっ…」
「おっさんはもう中毒になってる。禁断症状で今、手がつけられない。俺、止めたんだよ…?だけど…」
「なんでそんなこと…」
「誰でもいいから殺して、その隙に翔を奪うつもりだったらしいんだ…でも、おっさん、錯乱してて出来なかったんだよ…」
「じゃあ、翔は捕まってないんだな?」
「うん…だから、俺がアンタのこと拉致ったんだよ…ごめん…」
「俺と交換しようとでも思ってんの…?」
「わかんない…でも、アンタんち金持ちなんだろ?だから身代金取れるし…」
「そりゃそうだけど…」
「俺…」
「ん?」
「アンタのこと、助ける」
「えっ?」
少し震えてる。
「さっき、アンタの雇った探偵にメール送っておいた。アンタ捕まえた時の写真…だから、おっさんがアンタのことさらったっていうのは、あっちにはわかってるから…」
「秀明…お前…」