第9章 captive
秀明と身体を洗いっこして風呂を出たら、翼がまた部屋中を画用紙だらけにしていた。
さっきまで3人だった人の絵が、4人になっていた。
「これ、俺?」
「うん!」
その人だかなんだかわからないものを見ながら、なんだかますますヘンな気持ちになってきた。
俺、捕まってるんだよな…
なに自由にセックスして飯食って風呂入ってんだ…?
秀明がドライヤーを出してきて、頭を乾かしてくれた。
「じゃあ俺も」
秀明は大人しく俺の前に座って、温風を当てられてる。
乾いたら、後ろから囁いた。
「なあ…本当に全部教えてくれるの?」
秀明はこくんと頷くと、翼をベッドに入れた。
「翼、ねんねできる?」
「んー…」
不満そうな顔をしていたけど、暫くしたら規則正しい寝息が聞こえてきた。
そういえば今何時なんだろう。
窓がないから、時間の感覚がなかった。
ベッドで翼を寝かしつけてた秀明が、俺の手を取って立ちあがった。
ミニキッチンの横に小さな部屋があった。
こんなとこあったんだ。
気づかなかった。
そっと部屋に入ると、そこは秀明の部屋のようだった。