第9章 captive
「来たかったらでいいから」
そう言って風呂場に入った。
いや…来たからって、俺、どうしようっていうんだろう…
頭を洗ってたら、浴室の扉が開いた。
タキザワが入ってきた。
「背中…流すよ」
「…サンキュ…」
髪の毛の泡を流していたら、タキザワに抱きつかれた。
愛に飢えてんな…コイツ…
頭をよしよしして、とりあえず髪の泡を流しきった。
「じゃあ、洗ってよ」
そう言って腕を広げたら、タキザワは飛び込んできた。
「甘えてんの…?」
「うん…」
ちょっとヤバイ。
「そっか。身体洗いたいんだけど、いい?風呂ずっと入ってなかったから…」
「うん…」
タキザワはナイロンタオルを手に取ると、ボディソープで泡立てた。
俺の身体を隅々まで洗ってくれる。
「あひゃっ…くすぐったい」
「もー!洗えないだろ…」
「だってお前…うはぁっ…」
「もー相葉…」
「雅紀」
「え?」
「雅紀って呼べよ」
そう言ってちゅっとキスしたら、真っ赤になった。
「おまえは?」
「え…」
「下の名前なんていうの?」
「…秀明…」