第9章 captive
「にーちゃ!」
翼が起きだしてきた。
「翼、タキザワがご飯作ってくれたよ。食べる?」
「たっきー!」
翼はタキザワの姿を認めると、飛びついた。
「ああっ、こぼれんだろ!翼!」
「たっきー!きた!」
「わかったから…毎日会ってんだろうが…」
タキザワがテーブルを出してくれて、そこに簡単に調理したご飯を並べてくれた。
「はい……これ、箸…」
「おう。ありがとうな」
まだ、恥ずかしいらしい。
タキザワの乱れ方は凄かった。
終いには俺にしがみついて、泣きじゃくっていた。
そんな凄いことはしてないんだけどな…
照明を明るくしてくれて、改めてタキザワをみたら、やっぱり綺麗な顔をしてた。
翼もとても整った顔をしている。
ぷいっとタキザワは俺から目を逸らしてしまった。
耳が赤い。照れているらしい。
なんとなく俺も恥ずかしくなって、ご飯を食べ始めた。
「ほら、翼。お前も食え」
「はーい」
翼はスプーンを持ってご飯を食べ始めた。
「スープもあるから」
「ん。ありがとう」
なんとなく、タキザワの空気が変わった。