第9章 captive
「安藤以外と、寝たことあんの?」
「…それがなんだよ」
タキザワは煙を吐き出すと、暫く黙った。
「…ねーよ…」
「そっか…」
愛のあるセックス…したことねえんだろうな…
だからあんな荒んだ目、してんだ。
俺は、こんな状況なのになんとなくタキザワや翼に同情していた。
翼なんか特に、わけもわかんない状態でここにいるはずだし…
「わかった。抱いてやるよ」
「え…?」
今度はタキザワが怯えた目をした。
「もう、いいよ…ヤル気失せた」
そう言って、シンクでタバコをもみ消した。
「いいから…抱いてやるっつってんだろ」
俺もタバコを消すと、タキザワを抱きしめた。
「本気で嫌なら、突き飛ばせよ」
そっと抱きしめていたから、タキザワは突き飛ばせるはずなのに、動かなかった。
「大丈夫だから…」
そう囁いて、タキザワの身体を強く抱きしめた。
タキザワは酷く怯えていた。
唇を合わせると、タキザワの身体が強ばった。
それを解くように、背中をさすって落ち着かせた。
タキザワが唇を開く頃には、お互い夢中になってキスをしていた。
タキザワはバージンのように震えていた。