第9章 captive
「俺、欲求不満なの。あのおっさんが抱いてくれないから。あのおっさんが目覚めさせたのによ…」
「え?」
「あのおっさんが忘れらんなくて戻って来たのに、翼の世話ばっかりさせられて、全然抱いても貰えねえの」
タキザワが俺に抱きついた。
「だから俺の事、抱いてくれたら全部教えてやるよ…」
耳元で囁かれた。
「ねえ…相葉サン…」
タキザワの綺麗な顔が目の前にある。
艶やかな唇が、俺に触れようとした瞬間、俺はタキザワを突き放した。
「やっぱダメだって…」
「はあ?」
「タバコ、くれ」
ミニキッチンの上に、タバコのパッケージが置かれていた。
そこから一本取り出すと、ライターで火を点けた。
「あんた…いくつ?」
「え?24」
「俺の一個下か…」
ふぅっと煙を吐き出したら、久しぶりだったから、頭がクラクラした。
警察にいた間は吸えなかったからなあ…
「安藤と初めて寝たの、いくつのとき?」
「なんだよ…興味本位?」
「いいから」
「14」
「ふーん…無理やり?」
「関係ねーだろ…」
タキザワは拗ねたように、タバコを咥えた。