第2章 sanctuary
翔をベッドに寝かせて、眠りに落ちるのを見届けて、やっと落ち着いた。
「わりいな…和…」
「いや…いんだけどさ。なんかわかった?翔のこと」
「おん…」
雅紀は俯いた。
非常に歯切れが悪い。
「なんだよ?」
「んー…恵和学園はな、先月潰れたじゃん?」
「うん」
「ネットで調べたんだけどさ、経営者一家は行方不明だってさ」
「あっそ。まあそんなもんだろ?で、なんか職員とか連絡先わかんねえの?経営引き継いだとことか」
「そういうの、和の親父さんのほうがわかるんじゃねえの?」
「あ、そっか」
雅紀の顔色は冴えない。
「なに…奥歯に物が挟まったみたいなさ…」
「うん…これ、あくまでもネットの情報だからさ…」
雅紀が手で顔を覆った。
「恵和学園って、入寮生に虐待とか…人身売買の噂あるの知ってた?」
「え…?」
「翔の手首みた?」
「あ、ああ…」
「これ…」
二人で翔の方を向いた。
多分、二人共考えてることは一緒だ。
「翔、どっかに売り飛ばされてたんじゃないかな…」
「うん…実はさ…手首だけじゃなくて、全身にあるんだ…」
「えっ?」
「縛られたような痕と…あと…」
「あと?」
「ケツ、切れてる」