第8章 tower
「今はとにかく、安藤が捕まるのを待ちましょう」
「はい…わかりました」
智も大きく頷いた。
「潤の容体、わかったら教えて下さい」
「あ、はい。今日は美樹さんが病院に行くと思うので。連絡入ったらお知らせします」
窮屈かもしれませんが、今日はこの部屋で過ごさせてくださいと由美さんが笑う。
俺たちは一向に構わなかったので、そのまま思い思いに過ごした。
でもすることがなくて退屈で。
智と潤は大丈夫かなって話をしてても、全然時間は過ぎなくて。
「どうしよっか…なんかすることある?」
かと言って、こんな状況だから遊ぶ気にもなれず。
昨日たっぷり寝てしまったから、眠くもないし、安藤が来るかもと思うと安穏と寝ていられるものでもなかった。
スマホをいじっていると、着信があった。
由美さんの空気がぴりっとした。
表示を見たら、雅紀だった。
「え…?雅紀?」
「そんなはずは…とにかく出て下さい」
すぐにスワイプして出る。
「…もしもし?雅紀?」
『あ、和?参ったよ…やっと出られたよ…』
「雅紀!そのまますぐ家に帰れ!」
『え?何いってんの?』