第8章 tower
食べ終わって後片付けすると、由美さんは改まった。
「大変申し訳ありませんが、また今日一日ここに居ていただくことになります」
「え?」
「安藤の行方がわからないから、動けないんです。あなた方に危害を加えるおそれがあるので…」
「まあ…そうですよね…」
「今、美樹さんと美穂さんで安藤の行方を追っていますから…」
「でも、由美さん。俺達の警護って、依頼内容に入っているんですか?」
昨日から疑問に思っていたことを聞いてみた。
「あ…そうですねえ…でも相葉さんならきっとご依頼に付け加えると思いますよ?」
そういって由美さんは笑った。
「私、もともと警察の人間なんです」
「えっ?」
あんなに美穂さんは前職を隠していたのに、この人あっさり言った…
「すいません。私、隠し事のできない性格で…」
頭を掻きながら恥ずかしそうにしている。
「警察の仕事って、命狙われる人を守ることってできないんですよ。要人は別ですが…」
ぽっぺをちょっと擦って、恥ずかしそうに横を向いてしまった。
「私はそういうの性格に合わないんで、辞めちゃいました。
探偵の仕事のほうが、性にあってますね。ご依頼主、守れるし」