第2章 sanctuary
自動ドアが開いて、目を遣ると制服の警官が入ってきた。
「どうも。お変わりありませんか?」
警官は店員に話しかけてる。
突然翔が俺の腕を掴んだ。
「翔?」
顔が真っ青になっていた。
「翔…どうしたんだよ…?」
「こわい…おじ…おじさ…」
「え?」
翔の額に汗が浮かぶ。
「あの…お客様、どうかされましたか?」
レジをしている店員が、こちらを覗き込んでいる。
「いえ、大丈夫」
すぐに荷物を受け取って、コンビニから出た。
「翔…どうした?」
コンビニから離れたところで立ち止まって、翔の顔を覗き込んだ。
「こわい…おじさん…こわい…」
今にも気を失いそうで、身体もフラフラしてる。
「翔、おじさんはここには居ないから…大丈夫だから…」
ぎゅっと抱きしめると、翔の身体から力が抜けた。
「翔っ!」
ずるりと身体が地面に落ちそうになる。
「しっかりしろって!翔!」
目を開けたまま、翔はこちらを見ない。
どこか遠い過去を見ているようだった。
「いや…いや…いや…いや…」
「わかった…もう…わかったから…」
翔の身体をぎゅっと抱きしめて、落ち着くのを待つしかなかった。