第8章 tower
智は自分の分の夕飯を持っていた。
「一人じゃ…食べる気がしなくて…」
「…俺達もまだだから…一緒に食べよ?」
ベッドに腰掛けて3人で夕飯を食べた。
食べ終わると力が抜けて、ベッドに横になった。
智もごろりとベッドに横になった。
翔もごろっと横になって俺の顔をみて微笑んだ。
「じゃ、俺…」
智が起き上がると、翔が慌てて服を掴んだ。
「さとくん!」
「ん?なんだ?」
「ここねる!」
「え?」
「さとくんもいっしょ!」
「な、何言ってんだよ…翔…」
「ああ…そうしなよ。智…」
「和也まで…」
「一人で居ても落ち着かないだろ?一緒に寝ようよ…その、嫌じゃなかったら…」
「…嫌なわけないだろ…」
智は下を向いたまま、黙ってしまった。
「じゃあ、今日はこの部屋で一緒に寝ようよ…」
智はそのままベッドに座り込んだ。
「ありがとう…」
「いいって…」
翔はずっと智の服の裾を掴んでいた。
翔なりに智を心配しているのだろう。
苦笑いしながら智が翔の頭を撫でるとやっと安心して俺の腕に飛び込んできた。
ツインの片側に智が寝て、俺と翔はもう片方で一緒に眠った。
泥のように疲れて、夢も見なかった。