第8章 tower
「じゃあ…翔がどうなっていたって、警察は知らん顔してたってことですか…?」
「すいません…それはお答えすることができません」
「翔が行方不明になった情報も、警察は持っていながら握りつぶしていたってことでしょう!?」
「和也っ…!美穂さんに当たったってしょうがないだろ…」
「あ…」
「いいんです…慣れていますから」
「すいません。美穂さん…」
「…そんな腐った連中ばかりじゃないんですよ…?」
「え?」
美穂さんは立ちあがって窓辺に立った。
下を見回すと、また戻ってきた。
「二宮さん、外を見てください」
言われたとおり立ちあがって外を見ると、ビルの下の歩道に警官が立っていた。
「あのおまわり…」
「彼は、公安の人間です」
「えっ…もしかして小原ってやつですか?」
「はい。彼はあなた方を守っています」
「え…?」
「彼は公安に行って、最初の仕事が安藤の捜査だったそうです」
「知ってるんですか?小原のこと」
「そこは、ノーコメントで…」
美穂さんが苦笑いした。
でもその後すぐ、真顔になった。
「全てに確証が持てないほど、証拠は隠滅されているそうです」
衝撃的な言葉だった。