第7章 storm
ガチャっとドアが開いて、由美さんと翔が入ってきた。
「すいません。美穂さん、ちょっと」
スマホとガラケーを持ちながら由美さんは美穂さんを廊下に連れだした。
翔は俺の隣に座って、ぎゅっと俺の服を握った。
「どうしたの?怖い?」
「ううん…」
そう言って翔は親指を咥えて、俺に寄りかかってきた。
「淋しかったの…」
そう言って肩を抱き寄せると、こくんと頷いた。
「ごめんね。お話が終わるまで、あのお姉さんと待っててね」
「わかった…」
ドアが開いて、美穂さんと由美さんが飛び込んできた。
「すいません。撤収しましょう。報告は後日いたします」
「え?」
由美さんが殺気立っている。
「とにかくここを離れるんです」
慌ただしくカラオケボックスを出た。
支払いは美樹さんがしてくれるというので、俺達は車に急いだ。
美穂さんと由美さんが俺たちに付き添っている。
何がなんだかわからなかった。
でも急き立てられて、言うとおりに走り回るしかなかった。
翔の手をしっかりと握ってひたすら急いだ。
「あ、じゃあ俺先に行って車あけるよ」
潤が走るスピードを上げた。
「あっ…松本さんっ…」
由美さんの大きな声が響いた。